13.作戦
いままで見た事のない顔をしている薫。内緒だよ、というヒロ。
親友と恋人の間で悩む直帆さんであったが・・・
(やっぱり! 黙っておくなんてできない! 薫の笑顔を取り戻すんだ!)
薫さんの笑顔を思い描きながら、彼がとった行動は・・・
・・・・・・・・。あ、人形。
(橘・・・。昨日も帰ってこなかったな・・・。早瀬も橘の話題は避けているようだし…
しかし、友達の早瀬が探し回っている様子がないとなると、居場所を知っているんだろうか?)
ぐるぐるしてます。薫さん。
(ここは早瀬に聞いて・・・いや、どうして俺があいつに聞かなきゃならんのだ。
もし、"一ノ瀬さんも気になるんだ?"なんて言われたらどうする…)
『ねぇねぇ。一ノ瀬薫くん』
と、微妙な声色で近寄る直帆さん。
「…!! 誰かと思ったら直帆か。・・・どうした?」
直帆さんのなんだかほほえましい姿に顔がゆるむ薫。
『ち、ちがうよ!ぼくはキリンくんだよ』
「…? ほう。で、なにか用か?キリンくん」
あんた何を言うてはんねん、な直帆さんに対して、薫さん甘いです。
『ぼくは柏木直帆じゃないから言っちゃうんだけれど・・・』
「…?? ああ。なんだ?」
「直帆〜! ちょっと急いで!手伝って〜!!」
(ドキィッッッッ!!!!)
聞こえてか、聞こえないでか、ヒロがいいところでお呼びです。
小さく飛び上がる直帆さんであった。
『(ドクドクドクドク・・・)あ、ごめん。な、なんでもないんだ!じゃぁね!!』
直帆さん、やっぱり勇気がなかったようです。
腹 話 術 作 戦 失 敗
つづく