14.逃走


「お兄様!!!!」

・・・・・神よ・・・・。


これは何の試練でしょうか…。
家の前に立っていたのは、父上と、僕の弟リオネルでした。

「…。父上、リオネル、お久しぶりです。 まさかとは思いますが…」
「ヘイゼル。久しぶりだね」
「お兄様、お兄様! あのね、今日から一緒に居れるんですぼく!」

…そうですよね。はい。やはりそういう事なのですよね…神様…。

「ヘイゼルが地上に居る間にリオネルにもこちらで勉強させようと思ってね…」
「僕、お兄様が一緒なら安心です〜」

そう、とても輝いた瞳でリオネルは言いますが…

「父上…」

「今、僕が誰と一緒に住んでいるのかご存知でしょう?」

今僕が一緒に住んでいるのは悪魔です。リオネルのような純真な子がやっていけると思えません。 それに、同年代のサイレス君が興味を持って、リオネルに何か良くない影響を及ぼすかもしれません…。

「いや、実はだな。ヘイゼル、お前が地上に降りてからリオネルが寂しがって
すっかり落ち込んでしまってね。毎日、口を開けば地上へ行きたいと言うばかりでな…。こちらにに来ることで、リオネルが少しは元気になればと…。 お願いするよ、ヘイゼル」

「ですが父上…」

「あの、お兄様…。ぼく、もしかして…迷惑…でした・・か」

みるみるうちにリオネルの瞳に涙があふれていくのを見て僕はハッとしました。

「…いえ、あのリオネル。そうではないんですよ? あのですね…」

どう、説明すれば…。そう考えていると

「定期便がいってしまう。それではヘイゼル、頼んだよ」

そういい残し、父上が走り去ってしまいました。

やはり、神はどうしてもこの試練を与えるようです。

つづく