9.奴隷

僕はあのあとずっと朝まで運動した結果・・・

マッチョになりました。
これできっと重い荷物を運べといわれてもできるでしょう。
お姫様抱っこだってきっと受け取れます。

そう思ったら、カロンさんの顔が見たくなってきて
僕はカロンさんの部屋にむかいました。

天からの指示で動く事も多い僕ですが、僕が自然とやってしまうのが
寝ているカロンさんの横にあるソファに座ることです。
ここに座って、カロンさんの寝姿を見るのがとっても好きなのです。

ここの区画は安全なのですっかり安心しきっているのか、
僕が部屋に入ってもちっとも気配を感じ取って起きたりしないから
ありのままのカロンさんを見つめる事ができるんです。
起きている時に見つめようとしても、すぐに顔を背けて
どこかへ行ってしまいますしね…。




そういえばカロンさんを見て赤面していたお向かいに住んでいるマリーさんは
まだいるんだろうか?と思って探してみたら、どうやらずっとバナナともう一人の客人と2階にあるホットタブに入っていたようです…

「あぁ! あたいのいくじなし! なんでバナナと一晩中語り明かさないと
いけないんだい!」

恥ずかしくてカロンさんに話しかけれなかったようです。あわれ。
悲しそうにかえって行きました。


じゃぶじゃぶじゃぶ・・・

「クソ・・・天使の奴・・・」

丹念に手を洗っているようです。

「寝てる間に手なんて握りやがって…! なめてるのか!? ―クソ
みてろよ・・・今日一日こき使ってやる!!!!!」


じゃぶじゃぶじゃぶ・・・




「・・・おい綺羅。あいつ見なかったか。天使の奴」
「ヘイゼルさんなら先ほどお仕事にいかれましたよ」
「ハァ!!? 仕事だぁ?」


「あいつ奴隷になる気あんのか? ・・・つーか絶対逃げただろあいつ・・・クソ」

「なるべく自分で稼いで生きなくてはね・・・」

「子どもに夢を与えるショウビジネスが向いているとおもうんですよね…」

ポ、ポテトマン・・・・

天使を奴隷するには一筋縄ではいかないようです。

つづく