6.戸惑い
日記帳に鍵をかけて、僕は立ち上がりました。
日記に書いたような大それた事はすぐにはできないけれど、きっと少しずつでも僕から歩み寄ればカロンさんと僕は仲良くなれると思うんです。
カロンさんは、見た目ほど悪い方ではないと思うのです。
僕は第一歩を踏み出す決心をしました。
「カロンさん」
「あん、なんだよ」
「僕、ずっと思っていたんですが…。カロンさんのお肌って色が白くって少し輝いている感じで綺麗ですね。悪魔さんはみなさんそういうお肌なんですか?」
「あん?な、なんだよ急に…。まぁ・・・そうでない奴もいるが…大体うちの家系は同じだ」
「へぇ、とっても素敵ですね。」
「そ、そうか?」
「えぇ」
「僕も肌は白い方ですが、ただ白いだけで、こういった輝きはありませんから、羨ましくて触れたくなりますよ」
「さ…触るなよ」
「きっとこれが悪魔さんの武器なんでしょうか? 僕を惑わせる…」
「お、おい。お前、頭大丈夫かよ・・・なんだよ急に。そ、そうだ、俺は本を探しにきたんだよ。邪魔すんな」
「え〜とだな・・・」
カロンさんは戸惑うだけで、露骨な「口説く」でも僕を怒ろうとしませんでした。
やっぱり・・・カロンさんは悪魔さんでも僕と仲良くなれるような気がします。
つづく