36.ピューン


「ビジネスキャリアを上りつめただなんてすごいよ!さすが薫だね〜」

「いや、そんなことはない…」

「もう、そんなことあるよ!! やっぱり薫はすごいよ!」

「そうか? ありがとう直帆」


「あ、朋聡くん、さっきお風呂はいってたみたいだけど、もう上がってるんじゃないかなービッグニュースなんだし報告してあげたら〜?」

「あぁ、そうだな」

薫さんは知らないでしょうけど、今日朋聡さんはいろいろ散々な感じだったんですよアナタ。


(今朝は機嫌が悪かったのか何か拗ねているような感じだったが…。結局何だったのか判らんが、とりあえずは話しかけるいいきっかけになる…)




(いた…)


「ただいま」

「あ、おかえりなさい」

ピューン ピューン・・・

「…ゲームしてたのか」

「ええ、まぁ」

(…いつもよりそっけないな…何だ? まだ何か拗ねているのか? 気のせいか?)

朋聡さんは普段なら、「薫さんおかえりなさーい!」と真っ先にお迎えして、ずっと「ねーねー薫さーん」とくっつきまわっているのです。


「あのな、朋聡。今日はいい報告があるんだ」

「んー・・・」

ビュピューン ピューン・・・

「また昇進してな、ビジネスキャリアを上りつめたんだ」


ビュピューン ピューン・・・

「ふーん、そうなんですかー。…あっ!これ最高得点いった〜! よ〜し、そんじゃこっちのステージで〜・・・」

「・・・・・・・・」


(それだけ・・・か・・?)

つづく