輝羅の策略―1

出逢いというのはいつも突然やってくる。



(やっと見つけた。優良そうな遺伝子)






(絶対、顔のいい男を捕まえて可愛い子孫を残してやるわ)
メイドとして真面目に働く傍らで、彼女はそんなことを日々考えていた。


だから、彼女にとって顔のいい男との出逢いは運命そのもの。
探しに探して見つけた男。絶対にモノにしてみせると意気込む輝羅。





そして迎えた、その日。


「やった!」
我を忘れ、思わずガッツポーズを取ってしまうのも無理はない。
彼女の夢がお腹のなかで実りつつあるのだから。


それから彼女は、自分の夢を大事に大事に育んだ。


浮かれすぎて、ちょっとした失敗もしたけれど……

来るべき、その日を待ち焦がれて……






とうとう、その日がやってきた。

誰一人として応援してくれなくても、たとえ気づいてさえいなくても、


彼女はいきみ、そして、



感動の、瞬間。