1.二世帯住宅へ二人がやってきた
幼馴染の二人、一ノ瀬薫と柏木直帆を2世帯住宅へ放り込んでみた。
(・・・・あれ、薫だ)
(…あぁ、直帆と二人で暮らすのか)
お互いを認識しあう。
「あぁ、薫。俺たち二世帯住宅で一緒にくらすんだねぇ」
「ああ、そうだな」
この二人、決して「ああいう」仲ではない。
「ねぇ、薫。早速二人でこのお家見て回ろうよ。
きっとうげーってなっちゃうような照明とかある気がするんだ〜」
「すまん。俺、着替えが一着もないから買い物に行きたいんだ」
あぁ〜っ。直帆さんあっさり振られちゃった・・・。
かわいそうじゃないか、一ノ瀬薫よ
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独り言の多い、超絶美形柏木直帆はひとりぼっちで早速新しい我が家のキッチンへ。
「こっちが俺のキッチンかぁ…ウフフ早速作りたくなってきちゃった」
さほど一人にされた事は気にしてないようだ。
直帆さんは、まだ料理スキルゼロでも料理好き。
「でもちょっと初日から火事なんて起こしたらショックだよねー…
よし、トマトサンドにしよう。これなら火もつかわないしー…」
・・・・・・多くないですか。
直帆さん…今一人ですよね!?
「あれ〜。”用意する”にしちゃったのかなー。もしかして作りすぎちゃったかも…」
あー、そうかー、作りすぎちゃったかー
「まぁ、きっと誰か来ると思うしいいかなー
薫も買い物から帰ってきたら食べるかもしれないし…」
・・・・もぐもぐもぐ
・・・まぁ、超絶美形の直帆さんがいいと言うならいいんですよ。うん。
もう、どんどん。どんどん作りすぎちゃってください。
―――数時間後―――
「薫はなかなか帰ってこないし、誰も来ないうちに腐っちゃったし
それにやっぱりトマトサンドってすぐおなか減っちゃうんだよね〜…」
たっぷりつくっておられましたけどねぇ。腐っちゃったんだから。仕方ないですよ。
そしてまた料理。料理だいすき。ていうか料理しかしてないですがね。
グツグツグツ・・・・・
「ん。おいしい。トマトサンドをつくったからちょっとはスキルがあがったのかなぁ…」
あー・・・トマトサンドでね〜・・・。なるほどねー。
あっ。直帆さん!お客さんきてるよ!ご飯待ってるよ!なんか水着で!
「あ、いらっしゃーい。いつからいたの?どうぞ召し上がれ〜」
驚くことなく知らない人に振舞っちゃうのでありました。さすがだよ直帆さん。
次は薫さんのほうを覗いてみることにしましょう